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「VERSANT」のスコアは、本当に「英語を話せる力」の証明なのか?&手っ取り早いスコアアップ方法

今日は「VERSANT」という英語力テストの話。
※2020/4/30更新しました

www.versant.jp

VERSANTは「本当に話せる英語力の証明」というキャッチフレーズの通り、スピーキング力に重点を置いた英語のWEBテスト
日本では日本経済新聞社が独占販売権を保持しているので、日経WEB版などを見ているとしょっちゅう広告が表示されているかと思う。去年から継続してVERSANTを受験しているので、自分なりに気付いたことをまとめておきたいと思う。

なお、ここからの内容はすべて「VERSANT Speaking Test」に関するものです。

VERSANTの特徴

・自動採点システムを採用し、24時間365日受験可能
他のスピーキングテストとの最大の違いがこれ。
24時間いつでも誰でも受験できて、わずか5分くらいで結果が確認できる。
思い立ったときに英語力の測定ができるのはシンプルに便利。

・受験料は1回5,500円(税込)、スピーキングチャレンジでは実質半額に
TOEIC Speaking Testが6,930円、アルクのTSSTが8,800円なので相場よりも安め。
唯一、レアジョブ利用者限定のレアジョブ・スピーキングテストだけは3,278円とVERSANTよりもかなり安い価格設定。レアジョブを利用していて、受験の目的が単純な成果測定であれば、わざわざVERSANTを受ける必要はないかなと思う。
※VERSANTは年に2回程度、「VERSANT スピーキングチャレンジ」という1回分の受験料で2回受験できる実質半額キャンペーンを実施しているので、その時期を狙うのがおすすめ。

・大手企業でも多数採用
さすがにTOEIC L&Rほどの知名度はないものの、ここ1,2年で一気に認知度が上がったと感じる。
就職・転職活動で履歴書に書く資格としては申し分ないはず。

試験の内容

試験は以下の6パート。

・A:音読
画面に表示される文を音読する。一続きの4文×2題で計8問。

・B:復唱
音声で流れる文を復唱する。16問。

・C:質問
音声で流れる二者択一の質問に答える。24問。

・D:文の構築(並び替え)
音声で流れる3つの語句を正しい順番に並び替えて文を作る。10問。

・E:話の要約
音声で流れる短い文章を要約して30秒以内にまとめる。3問。

・F:自由回答(意見を述べる)
提示された問いに対して、自分の意見を答える。2問。

採点の方法

VERSANTのスコアは20点~80点の間で表示される。
総合得点のほかに、以下4つのスキルが採点される仕組み。

文章構文:発⾔を把握し、それを逐語的 に発話する能⼒
語彙:構⽂中の⽇常的かつ⼀般的な単 語を理解し、⾃在に表現する能⼒
流暢さ:⽂章の組み⽴て、読み、反復の際のリズム、区切り及びタイミングの取り⽅の能⼒
発音:⽂脈においてネイティブ同様に⼦⾳や⺟⾳を発⾳し、強勢を置くことのできる能⼒

日本人の平均スコアは38点(CEFR A-1相当)で、
VERSANTが提示している目標スコアは47点(B-1相当、海外赴任ができるレベル)。
私も47点を目指して受験を続けている。

スコアレポートには参考としてGSE、CEFR、TOEFL iBT、TOEIC L&Rの換算スコアも記載されるけど、CEFR以外はアテにしないほうがいいと思う。
特にTOEIC L&Rに換算するのは何も意味がない。たとえば、日本人のVERSANT平均スコアは38点をTOEIC L&Rに換算すると533点-633点のレンジになるけど、実際の日本人受験者のTOEIC L&Rの平均スコアは708点。100点近い開きがある。
スピーキングテストの結果をL&Rに換算するというだけでもナンセンスだし、「読めるけど話せない」人の多い日本人の場合はなおさらだと思う。

手っ取り早いスコアアップ方法

ヘッドセットを使う

基本中の基本。テストの音質がかなり悪いのでヘッドセットは必須。

スマホアプリを使う

以前はWEBブラウザから受験できたのですが、いつからかPCでもアプリが必要になったようです。WEBアプリだと今何問目かが表示されなかったりしてとても使いにくいので、スマホアプリでの受験がお勧め。もちろんヘッドセットは必須。

音読パートはできるだけスピードを出して読む

音読は確実に「正解」できるパートなので、慎重にゆっくり読みたくなってしまいがち。
一方、どうやら文を読み上げるスピードは「流暢さ」のスコアに直結する模様。騙されたと思ってスピード感を出して読んでみて下さい。たったそれだけで、実感としては「流暢さ」のスコアが2点くらい上がります(総合スコアに換算すると0.5~1点)

質問への回答は単語のみで答える

質問は基本的に二者択一です(たまに簡単な計算問題とかも出て焦る)
たとえば、「頭にかぶるのは帽子ですか?机ですか?」というような。
きちんと英語を学んでいる人はうっかり「It is Hat.」などとフルセンテンスで答えたくなりますが、採点するのは機械なので余計なことは言わないほうがいいです。シンプルに「Hat.」が模範解答。

要約パートはできるだけ問題文の単語や表現を使い、30秒ジャストを狙う

「要約」と聞くと、「なるべく自分の言葉を使って、簡潔にまとめる」のが正解だと思ってしまうけれど、VERSANTの場合はどうやら真逆のようです。
なるべく問題文の単語や表現を使い、制限時間いっぱいまで話したほうがいい。つまり、言葉通りの意味での要約力を発揮するのではなく、「正確に・しっかり問題文を聞けていますよ」というアピールをすべき。

つまりは、機械が採点しているということを念頭に置いて回答すべし。ということです。「語彙力」のスコアを上げようとしてあまりにも凝った言い回しやウィットに富んだ表現などをしてしまうと逆効果になる可能性が。*1

ちなみに私のスコアは……

1回目(2019年2月頃):35
2回目(2019年10月):40
3回目(2019年12月):41
4回目(2020年3月):42
5回目(2020年4月):44
6回目(2020年4月):46 →自己ベスト

テストの中身も何も知らず、ヘッドセットも使わずに実施した初回があまりに残念なのはさておき、2回目以降は見事な牛歩っぷり。とはいえ、1点が海外留学1ヶ月分に相当するとも言われるVERSANTなので、1点でも伸びているのは嬉しい。*2
実感として4回目~6回目までの間で英語力は全く伸びておらず、ただただ「音読を速く読む」を心掛けた結果なので、1点でも2点でも上積みしたいという方はぜひお試しを。

まとめ

VERSANTは間違いなくスピーキング力を測るテストであり、スコアのブレも少ない。英語学習(特に英会話)の効果測定や、履歴書での英語力のアピールとして一定以上の効果はあると思う。
一方で、テストである以上やはりテクニックに近いものも存在しており、特に「英語を使って外国人の同僚と仕事を進めていけるか?」「外国人観光客に適切な応対ができるか?」といった、具体的なシチュエーションでの実践力までは計測できないと感じている。(あくまでも英語力そのもののテストなので、たとえば自由回答のパートでは、嘘だろうが倫理的にアウトだろうが、文法的に正しい文章を流暢に正しい発音で読み上げれば高得点になってしまう。
一長一短な部分はあれど、オンライン英会話の効果測定としてVERSANT以上のものが現状見つかっていないので、3ヶ月に1回くらいは受験を続けてみる予定です。

ちなみに、現在アルクユーザー限定のVERSANTスピーキングチャレンジが実施中のようです。アルクユーザーの方は是非。

ej.alc.co.jp

*1:私の場合は語彙力が貧弱すぎるので一切不要な心配

*2:VERSANT1点=海外留学1ヶ月分説は個人的には眉唾で、47点以下の私のような層は比較的順調にスコアを伸ばせる印象がありますが