Cruise × Cruise

旅行・勉強・自炊など。気分はいつでも船の上。筆者は元旅行会社勤務⇒現在はメーカー人事

教育の賜物。アイドルオタク仲間としての父と私について

今週のお題「お父さん」

自分で言うのも気恥ずかしいが、家族(両親・妹)との仲は良い。母との関係が母娘として、時には主婦仲間としての仲の良さ*1であるのに対して、父と私は完全にオタク仲間である。私自身も子どもの頃から様々な分野を渡り歩きつつオタク気質を発揮してきたし、そういう「熱中できる自分」のことが結構好きなのは、間違いなく父の影響だと思う。

父は、榊原郁恵から坂道まで、40年以上のキャリアを誇る筋金入りのアイドルオタクだ。一応補足しておくと、父はいわゆる博識家であり、あらゆる文化芸能に詳しい。クラシック音楽プロスポーツ、文学、競馬、邦画。大体なんでも好きだし大体なんでも詳しい。なかでも特にアイドルが好きなのだ。

そんな父の影響で、私もすっかり女子アイドルにハマり、大学生から現在に至るまで、何度も一緒にコンサートや舞台に行ったり、新譜に対する感想を交換したりしている。また、あるときには友人の代打としてKAT-TUNのコンサートについてきてもらったこともあった。女子アイドルのコンサートには父娘のペアがそれなりにいるが*2KAT-TUNの東京ドームでの二十歳過ぎの娘と父親のコンビはめちゃめちゃ浮いていた。

自分で同行をお願いしたくせに、周囲の目を気にして委縮している娘に対して、父は「Real Face」しか知らないし、「亀梨くん」しか顔もよくわかっていないのに終始ご機嫌で、終演後には「AKBのコンサートもこのくらい演出に力を入れたらいいのにね。KAT-TUNは5人しかいないのにAKBのときより東京ドームが狭く感じたよ」と言ってくれ、とてもありがたかった。

そもそも、父は幼少期から並大抵でない凝り性だったようだ。手持ちの酒蓋を各10回ずつ回して平均タイムを計測し、強さをランク付けしてみたり、バットとボールを持って空き地へ行き、壁を相手に1人18役でプロ野球の疑似試合をしたり(ある意味、リアル版のパワプロとも言えるかもしれない)、誰に言われるでもなく、自分の定期テストの点数を折れ線グラフにまとめて分析したりしていたそうだ。要するに、身近なものを分析することが好きらしい。

アイドル研究*3においてもその性質は健在で、「アイドルオタク」を自称しつつ、彼の興味の対象は主に楽曲だ。膨大なアイドルソングの歌詞を分析し、よく歌われる主題についてまとめることをライフワークにしているようだ。以前、真顔で「この成果はいずれ出版するから」と豪語していた。

アイドル個人の性格や発言には全く関心がないので、スキャンダルそれ自体よりもそのせいで楽曲や映像作品が封印されてしまわないかを心配するし、握手やハイタッチなどのイベントにも全然興味がない。自らを「書斎派」と称し、普段は自宅でのCDやDVDの鑑賞がメインで、時折コンサートや舞台を見に行く。メンバーがドラマや映画に出演するという情報を得たときは、できるだけ鑑賞して感想をブログに書く。なんというか、律儀な楽しみ方だなあと娘ながら思う。あらゆる手を尽くして投票券を大量に集めるような、「熱心な」オタクの中にさえ、推しが出演する全ての映画を映画館で見ている人はあまりいないのではないか。

アイドル個人にはあまり興味がなさそうな父だが、一応、郁恵ちゃんを筆頭に「好みの容姿」「好きな歌声」というのはあるらしく、時代ごとに推しメンと呼べる人物はいる。ただ、それ以外のメンバーのことは全然見分けがついていない

実際、私がAKB48を知ったのはA1st「PARTYが始まるよ」公演のDVDだったのだが、自宅のリビングでメンバーの顔写真を突き合わせながら「前田さんと浦野さん以外見分けがつかない……*4」と唸っている父の横でなんとなく一緒に映像を見ているうちに、私のほうが先にメンバーの顔と名前を覚えてしまった。「だからこじはるでしょう?!なんでわかんないの!?」とか言っていたら、いつの間にか曲や衣装も好きになっていて、あれよあれよという間に私を沼落ちさせたB3rd「パジャマドライブ」公演と、永遠の推しメンである多田愛佳さんに出会ってしまったのだった。

ところで、父は30年近く前、母が私を妊娠しているときに、とある雑誌のアイドルオタク特集に取り上げられたことがある。私は成人式をまもなく迎えるというタイミングでそのことを初めて知らされ、掲載誌を見せてもらって驚愕した。どんな子に育てたいかという記者の質問に対し、父は「女の子だったら嬉しいです。カラオケで一緒にアイドルソングを歌いたいです」と答えていた。いくらアイドルオタク特集だからといって、そんな答えある?しかも、「思った通りに叶えられてる」し。

振り返ってみると、斉藤由貴「卒業」からSPEED「My Graduation」まで網羅した卒業ソング特集のカセットテープを渡してくれた小学校の卒業式の日から、全ては始まっていたんだね。教育の賜物だわ。どんなに歌詞やメンバーを覚えるのが早くても、父には一生勝てない。

それでは聞いてください、「お手上げララバイ

www.youtube.com

おしまい。

*1:特に結婚して家を出てからは「最近食べた・作った美味しいもの」「カルディの期間限定品」の話題が増えた

*2:とはいえ女児+若いお父さんの組み合わせが主流だ

*3:父はアイドルの楽曲を鑑賞することを研究と呼ぶ

*4:浦野さんというのが、父の推しメンである浦野一美(愛称 CinDy)さんである