コスタ・デリチョーザ乗船記⑦寄港地・ドブロブニク編(城壁と海、そして猫)
終日航海日を挟んで、7日目は最後の寄港地ドブロブニクへ。コンパクトな街なので、シャトルバスで旧市街の入り口までツアーの全員で向かい、その後はすぐに自由散策の時間になった。
「アドリア海の真珠」と名高いドブロブニク、日本ではジブリ映画『魔女の宅急便』や『紅の豚』のモデルとなった町のひとつとして有名かと思う。恥ずかしながらジブリ映画に触れる機会がほとんどないまま大人になってしまったので、今回の旅行のためにあわてて鑑賞した。
元々、私の中では「赤い屋根の連なる街並み」といえばドイツのハイデルベルクで、初めて訪れたときにはあまりの可愛らしさに「ここに住みたい!」と思ったほど。でも、ドブロブニクもそれに匹敵するくらい、可愛くて素敵で大好きになった。
ドブロブニクの特徴は、なんといっても旧市街をぐるりと取り囲む城壁、そして透明度の高い海。
城壁は途切れることなく続いていて、歩いて一周できるところがとてもいい。一周約2キロ、見ていて全く飽きなくて、それどころか歩き終わっちゃうのが寂しくて、二周目行くかちょっと迷ったくらいです。ドブロブニクに住んで毎朝の散歩コースにしたい。年パスとかあるのかな。
城壁を歩きながら収めた写真を撮影順に、厳選して載せてみる。
全体を見渡したときの赤い屋根と青い海のコントラストの美しさは言うまでもなく、更に素晴らしいのは、急な坂道の細い路地、ずらりと干された洗濯物、ガーデニング、そういうミクロなところ、ある意味「生活感の塊」みたいなものまでが可愛いこと。ときめきが止まらない。私も、もし城壁沿いの家に住んでいたら、洗濯物の干し方めっちゃこだわると思う。喜んで「海の見える街」の構成要素になりたい……!
あと、「船が宙に浮かんでいるみたい!」という比喩のような光景を、実際に見たのは生まれて初めてです。これは確かに浮かんでる。
ただでさえ魅力満載のドブロブニクを一層完璧にする猫たち。
それぞれに特等席を持ってる。耳カットしてる猫も結構いたので地域猫なのかな。大柄で、ちょっと魚の匂いがする、幸せそうな猫がいっぱい。
個人的に靴下猫(足先が白い猫)が大好きなので、なぜか靴下率が高かったのも嬉しかった。猫の柄に地域性とかあるんだろうか。
見下ろして可愛い街は、もちろん下りて歩いても可愛い街。クラシカルもポップもなんでも似合う懐の深さがすごい。
喉が渇いたので、絵になる路地のテラス席で休憩タイム。ビールにポテトフライ、プリンとチーズケーキという一見とっ散らかったラインナップだけど、ビールはクロアチアビールのOžujsko、プリンもRožataというドブロブニクの伝統的なデザート。時間が限られる寄港地観光なので、食べ合わせなんか気にせず、食べてみたいものは食べられるときに!
旧市街と城壁を外側からも見てみたくて、旧市街から歩いて10~15分ほどのロブリイェナッツ要塞にも行ってみた。
ここからの景色もまた最高。入り江の美しさと旧市街、ケーブルカーのある丘のほうまで見渡せる、とても贅沢なスポットで、城壁内に比べると人がぐっと少ないのもおすすめポイントのひとつ。寄港地観光なのにマイペースにのんびりできるって本当にありがたい……。
ドブロブニクは想像以上にコンパクトな街で、限られた時間ながらも一通り見て回れたかなと感じるからこそ、改めてゆっくり訪れたいと心から思う。細い路地の一本一本を隈なく散策したくなるような、あまりにも奥深い町なので、一週間くらい滞在して、暮らすように過ごしてみたいなあ。
そんな感傷とは無関係に、コスタ・デリチョーザは最後の寄港地を早々に出航し、ベネチアへと戻っていく。
バルコニーからずっと眺めていた、水平線に沈んでいく太陽と月。